今回は一般の週末プレイヤーとしてテニスをしている私が、生意気にもジョコビッチをライバル視して、その圧倒的な強さに心が折れそうになり、テニスをやめようかと思った話をする。
私はジョコビッチをライバル視できるほどつよいのか?という問いに対しては、はっきり『NO!』ということができる。
私はジュニア上がりではなく、歴もそんなに長くないので、そもそもそこらへんのジュニア上がりにもなかなか勝てないのレベルなのだが、
考え方が常に極端であるため、こういう思考が生まれてしまう。
数年前、ジョコビッチが圧倒的な強さを誇り、他の選手を蹂躙していた頃だ。
あの試合は全米オープンの準決勝あたりで、我らがテニス神スイスの英雄ことロジャーフェデラー様と何者も自分の後ろを通すことは許さない地獄の門番ことセルビア生まれの天才ノバク・ジョコビッチの対決する試合だった。
フェデラー様といえばその美しすぎるプレースタイルと超攻撃的な超技巧派のテニスをすることで有名で、
方やジョコビッチといえば圧倒的なコートカーバーリング力と左右に打ち分けるコントロールで永遠にラリーを終わらせない男で有名な選手だ。
つまりこの試合は、超攻撃型のテニスのフェデラー様対究極の守備力を誇るジョコビッチのほこたて対決であった。
私も攻撃的なテニスを目指していた人間だったので、当然フェデラー様の応援に熱が入る。
試合が始まり様子をみると、どうやらフェデラー様の調子も良さそうだと感じた。
しかし、フェデラー様が角に鋭いボールをどれだけ打とうと、ジョコビッチはショートラリーでもするかのような涼しい顔をボールを返し続けた。
その姿はまるでコンクリートブロックのようで、どれだけ良いショットを打っても決まらない壁とのテニスであった。
当然、いくらフェデラー様であっても、あの黄色いヤワなボールではコンクリートは撃ち抜くことはできない。
とてつもない素晴らしいショットを撃ちまくっているのに、全く決まらずゲームは一方的であった。
誤解しないで欲しいのは、フェデラー様は並の攻撃力ではなく、ツアー史上最強の攻撃力を誇るプレイヤーであるということだ。
この試合が自分の中にとてつもない衝撃を生み、次の日からは干からびたセミの抜け殻のようになってしまっていた。
別にフェデラー様が負けたことがショックだった訳ではない。
自分が何回生まれ変わって最高の才能と最高のフィジカルを授かってテニス選手になったとしても、
最強のコンクリートブロックであるあのジョコビッチには勝てないということを感じてしまったからだ。
最近流行りの「転生したら最強になった」系の物語ではなく、
「何度転生しても結局ジョコビッチには勝てなかった」系の物語の主人公になってしまうことに悲しくなってしまったのだ。
そこからしばらくして、週末一生懸命テニスをやっていることになんの意味があるのだろうと思うようになってしまった。
私はテニス歴こそジュニアに劣るが、実は練習してないだけで、才能は世界一なんじゃんね?と密かに思っているほど『ポジティブボーイ』だったのだ。
しかし、何度転生しても勝てないことがわかると突然自分が惨めになってしまい、テニスをやめたくなってしまったのだ。
一応テニスをやめる前に、一緒にテニスをしている友人に相談してみることにした。
どれだけテニスを練習してもジョコビッチには勝てないことがわかったので、テニスをやめようと思っている
は?ジョコビッチ?一体何を言っているんだお前は?
俺たちは趣味でテニスやっているだけなのになぜジョコビッチに勝てないとテニスをやめたくなるんだ?
どんなに練習したって限界が見えていたらやる意味がないだろう!
楽しいからやっているんじゃないのか?プロじゃないだからそこまで考えてもしょうがないだろ。
友人に助言はまさにその通りで私は気づいてしまった。
テニスは趣味であり、楽しいからやっているだけなのだと。
私は大切なことを忘れてしまっていた。
もともと楽しいからテニスを始めたのであって、決してお金を稼ぐためとか勝利を味わいたいからではないということに。
そこから私は強さに囚われるのをやめ、テニスを楽しむようになった。
そして、私は攻撃的なテニスをやめ、守備的なテニスに切り替えるようになった。
そうしたら驚くぐらい勝率が上がった。
守備のテニスって地味だけど最高やな!
そこからはいかに相手が嫌がるか、相手の調子を下げれるかということに注力する超好青年爽やかテニスをするようになった。
ありがとうジョコビッチ、そして諫めてくれた友人よ。
そして最後まで読んでくれたあなたよ。
こんなくだらない内容ではあるが、伝えたいことは一つある。
それは「攻撃的なテニスに憧れてこだわりすぎていないかい?」ということである。
私みたいに「守備的なテニスが向いている人も中にはいるんじゃないのかい?」
ということを伝えたかった。
フェデラー様という神のテニスは美しいし憧れてしまう。
しかし、守備的なテニスは地味だが、実は一般人程度であれば一番勝ちやすい戦略だと言うことを理解しておいて欲しい。
まあ、スタイルは様々だけど、自分に合う自分が楽しいと思うテニスを見つけるべきだ。
ではでは、こんなくだらない話が長くなってしまったが、またどこかのコートで会おう!
ありがとうジョコビッチ!ありがとう友人!そしてありがとう我が人生の友テニスよ!
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